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肩関節脱臼
肩関節脱臼って何? (かたかんせつだっきゅう)
肩関節は、人体で最も動きが大きく、安定性が低いため、最も脱臼の起りやすい関節です。
転んで手をついたり、肩を打ったりして上腕骨の骨頭が前方へ脱臼する前方脱臼がほとんどです。
脱臼すると肩を動かすことができず、患者さんは良い方の手で脱臼した方のうでを支えて来院します。
レントゲン検査で脱臼の状態や骨折を伴っていないかを調べます。
治療法は?
骨折を伴わない脱臼
レントゲン写真で骨折を伴わない肩関節脱臼に対しては、徒手整復術を試みます。
代表的な徒手整復法は次の三つです。
外転挙上整復法
コッヘル法
スティムソン法
比較的筋力の無い高齢者や何度も脱臼を繰り返している例では、麻酔をしないで徒手整復をすることができます。
筋力の有る青壮年や脱臼後、数日間放置された例には、全身麻酔をして、痛みと筋肉の緊張を取り除いてから徒手整復をします。
徒手整復後、3週間は、三角巾やアームスリングで肩関節を固定します。
骨折を伴う脱臼
レントゲン写真で骨折を認める例では、全身麻酔をして、徒手整復を試みます。
上腕骨の骨頭下の骨折を伴う脱臼骨折では、徒手整復が不可能なものがあります。この様な例では手術が必要となります。
注意することは?
反復性肩関節脱臼
初回の脱臼後、再脱臼を繰り返すものを反復性肩関節脱臼といいます。
外傷性脱臼の約半数以上が反復性脱臼になるといわれています。この原因としては、初回の脱臼時に、肩関節を安定させる関節唇という組織の損傷(バンカート病変)や上腕骨骨頭の陥没骨折(ヒル・サックス病変)があげられます。運動中、あるいはちょっと肩の力を抜いた際に突然脱臼するので患者さんの不安感が強く、手術になる事が多い様です。多くの手術方法があるので、「肩関節の外科」に詳しい整形外科専門医と御相談下さい。