痛みの話Q&Awhat symptom
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症って何? (ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰に重い痛みがあって、歩いていると腰から足に痛みやしびれが広がって歩けなくなります。しかし、少し前かがみになったり、腰かけたりすると痛みやしびれが軽くなって、また歩ける様になります (間欠跛行)。 50歳代~60歳代のころから発症しやすくなります。
どうして起るの?
脊椎のうしろには、脊柱管という背骨、椎間板、関節、靱帯などで囲まれたトンネルがあり、そこに脊髄、腰では馬尾という神経が入っています。
年をとると、背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、靱帯が厚くなって、神経の通る脊柱管が狭くなり(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、血流が低下して腰の痛みや足のしびれが発症します。 腰椎椎間板ヘルニアが狭窄の原因となることもあります。
症状は?
腰の痛みや足のしびれ感の症状が進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出が悪くなったり、逆に尿が漏れることもあります。
診断には MRI検査 が有用です。
治療法は?
神経の圧迫は腰をそらして立つと強くなり、前かがみになると和らぐので、歩くときは一本杖をついたり、シルバーカーを押して歩くと楽です。
保存的治療としては、リハビリテーション、腰部コルセット、神経ブロック、神経への血流を良くするプロスタグランジンE1誘導体の注射(パルクス注)やのみ薬(オパルモン錠)を使います。しかし、これらの保存的治療でも腰や足の痛みが良くならず、歩行障害が進行し、日常生活に支障が出てくる場合は手術をします。この疾患には高齢者が多いので、患者さんの全身状態、合併症、生活環境などを十分考慮して手術を行います。
手術では、狭窄を起こしている骨や靱帯などの組織を取り除きます。熟練した整形外科医と良く相談して下さい。
注意することは?
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)(ASO)との鑑別が必要です。
閉塞性動脈硬化症は、脚の血管の動脈硬化により、血液の流れが悪くなるためにおこります。脊柱管狭窄症と同じ様に、少し歩くと脚にしびれや痛みが出て、立ち止まると痛みが軽くなる間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。脊柱管狭窄症との違いは、姿勢を前かがみにしても症状が消えないこと、足背動脈の拍動を触れないこと、脚がとても冷たくなることなどです。進行するとじっとしていても脚の痛みが続き、脚の皮膚に潰瘍をつくることもあります。
食事の欧米化、喫煙習慣などにより50~80歳代の男性に多く発症します。脚に動脈硬化が起きていれば、脳や心臓などでも動脈硬化が起っている可能性があります。心臓血管外科での検査と治療が必要です。