痛みの話Q&Awhat symptom
足の骨折
足の骨折にはどんなものがあるの? (あしのこっせつ)
運動中に転倒したり、段差でつまずいたり、高い所から転落して、強く足を捻って足関節部の骨折が起ります。足関節の捻り方、強さによって骨折の部位や程度が異なり、しばしば靱帯損傷(注1)を伴います。診断は通常のレントゲン検査に加えて、関節の異常な動きを調べるためにストレス撮影が行われます。
1.内果(ないか)骨折
足関節を強く内側へ捻ると距骨に押されて、内果が骨折します。ずれのないものは、ギプス固定で保存的に治療します。しかし、骨折部がずれて離れているものは、骨のつく可能性が低いので手術をします。手術はスクリュー固定が一般的です。
2.外果(がいか)骨折
足関節を強く外側へ捻ると距骨に押され外果が骨折します。この骨折は螺旋状に折れる事が多いため、レントゲン検査は、通常の2方向撮影(正面と側面)の他に、角度を変えた撮影(斜方向)が必要なことがあります。ずれのないものは、ギプス固定で保存的に治療します。ずれの大きいものは、手術が必要となります。この骨折ではしばしば脛骨と腓骨の間に開き(脛腓関節離開)がでます。手術をして外果(腓骨)のずれを正確に整復し、プレート等で固定します。手術によって、脛腓関節離開も整復されます。
3.第5中足骨(ちゅうそくこつ)(基部)骨折
歩行中、段差で足を内側へ捻った時、よく起る骨折です。下駄で歩行中に起すことが多いので、「下駄穿き骨折」ともいわれます。
ずれのないものは取り外しの出来る簡単なギプス固定や弾力包帯で固定します。
ずれの大きいものは手術(鋼線とワイヤーで固定)します。
4.踵骨(しょうこつ)骨折
高い所から転落して、踵を強く打って発症します。踵骨の圧迫骨折で両側に起すこともあります。この骨折で問題なことは踵骨の上にある距骨との関節面に「ずれ」を生じることです。このずれの部分に体重がかかると痛みが強く出ます。
踵骨骨折は治療のむずかしい骨折です。受傷時の状況によっては、骨折の形が複雑になり、後遺障害として、長い間足の痛みが続くことがあります。そのために出来るだけ正確な整復が必要です。
麻酔をしてからずれた骨折部を徒手整復し、経皮的に鋼線で固定します。この徒手整復はテクニックが必要です。経験を積んだ医師が行えば、かなり良い整復位が得られます。
整復の困難なものは、手術で踵骨のずれた骨片を整復し、骨の欠損部に骨移植をして、踵骨と距骨の関節面を正確に保ちます。
5.距骨(きょこつ)骨折
車の運転中、ブレーキを踏んだ状態で正面衝突したり、高い所から飛び降りて、足関節の背屈を強制されて起る骨折です。この骨折の特長として、血流障害によって、骨の壊死(距骨体部の阻血性壊死)を起すことがあります。
骨折部のずれの全く無いものは、ギプス固定で保存的に治療します。ずれのあるものは、手術(スクリュー固定)をし、下腿の装具をつけて、仮骨を待ちます。
6.足関節脱臼骨折
オートバイ事故やスポーツなどで、足関節に強い外反と外旋の力が加わると、外果と内果の骨折と共に足関節の外方脱臼がおこります。足関節は強く変形して腫れます。多くは足関節の靱帯損傷を伴います。
整復後、外果と内果をプレートと鋼線で固定します。特に外果の正確な整復と固定が大切です。切れた靱帯も縫合します。